うつ病の論文
 

 

うつ病、躁うつ病に対する整体術の効果

           脊山整体院  脊山 武

要旨

頭痛、肩こり、全身疲労等で筆者の整体院に来院される人の中に精神疾患を伴った人がいる。この様な人の施術経験から、精神疾患に対して手技療法が有効なことを発見した。

それぞれが通院する病院でうつ病、躁うつ病と診断された人に対して、頸部の筋硬縮を手技によって解消する手技療法を施術した。その結果、うつ病の症例も躁うつ病の症例も共に同じような経過をたどって、極めて短期間で治癒といえる状態になった。このことから手技療法は、精神疾患に対して有効な治療手段であることが考えられる。

本論文では、うつ病、躁うつ病と診断された人に手技療法を行い、良好な結果を得た事例を報告する。

なお本論文において、「精神病と頭痛は、頸部の筋肉群の筋硬縮という同じ原因で発生する別の表現形であり、精神病は、頭痛の原因となる頭部の血管とか神経の炎症といった異常が、心に影響を及ぼす領域で発生することが原因である。その結果、今までナゾとされてきた精神病特有の多種多様な異常感覚とか思考の乱れが生じる。」という筆者の精神病説を提唱する。

 

[キーワード] うつ病、躁うつ病、統合失調症、精神分裂病、schizophrenia、精神病

 

序文

フロイトは無意識の概念や本能のゆがみが心の病気の原因になるとして、そのような異常に神経症という病名をつけた。ところが心の病気の問題はさらに転換期を迎えている。それは脳内神経伝達物質の作用の解明と心の病気への関与が明らかになったためである。その結果、脳内でセロトニンの量を増加させるセロトニンの再取り込み阻害剤が開発され、うつ病の治療に劇的な効果をあげることとなった*1

しかし統合失調症を例に取ると、[ 統合失調症の治療に十分なものがなかった時代から、ほぼ完全に症状が消失する方が全体の十〜二十%、あらゆる治療がほとんど奏功せず、改善がまったく見られない方が約十%、残りがその中間のやや症状が残存する方という比率は大きく変わっていないと言われている。*2]

というように精神病が治ることと薬とはあまり関係なく、薬の役割はあくまで症状を抑えるだけのもので、根本的な原因を治療するものにはなっていない。どんな病気でも薬で治るということはありえず、薬にも得手不得手はある。薬が良く効く病気と、薬では根本的な解決にはならない病気があるのが現実である。

近年、このような現実に対して代替療法が見直されるようになった。

筆者は、従来からの薬物療法とか心理療法とはまったく異なった、整体術という手技療法が精神病に対して劇的な効果があることを発見した。

今回、うつ病と診断された人2名、躁うつ病と診断された人2名、計4名に対して整体術を施術し、良好な結果を得た事例を報告する。

 

研究対象と方法

当院に来院される人の内、精神科、心療科等の病院で精神疾患の病名が診断された人を対象に、それぞれ一回の施術時間は約五十分で、全身に一通りの施術を行う。その中でいろいろと聞き取りをしながら筋肉の状態を把握し、精神疾患の場合は肩から首にかけての特にこっている部分を探って重点的にほぐす等、症状を訴えた筋肉群の施術を基本の施術の上に施す。

経過は対象者の感想を中心とし、治癒は自他共に病気をする前の正常な精神状態に戻ったと感じることである。

 

症例紹介

症例@ 38歳 女性 病名(躁うつ病)

既往歴  以前、側わん症があった。

家族暦  特記すべき家族暦はなし。

主訴   頭痛、肩こり、全身疲労

現病歴  

2002年8月躁うつ病と診断され、それ以後薬物治療を続けている。

施術経過

2002年10月17日、以前側わん症で通っていた女性が「ひどい肩こりで、もっと早く来たかったのですが躁うつ病になって車に乗れない、会社にも行けない、死にたくなるなど大変なのです。」と言って来院された。同年12月8日までに行った、計7回の施術経過を報告する。

1回目の施術後の感想

「霧が晴れたように頭の中がスッキリした、あんなに悩んだ側わん症が治って凄いと思っていたけど、躁うつ病まで治るなんて思ってもみなかった、信じられないくらい凄い。」と驚く。

10月23日、2回目

「夜眠れない。夜2時間くらいしか寝ていないのに昼も眠くなく、会社で仕事をしたくてたまらず、次々と部下に指図して困らせた。」と話す。

10月27日、3回目

「夜眠れない。まだ興奮状態で困る。」と話す。

11月3日、 4回目

夜眠れるようになった。

11月12日、5回目

異常を感じることはまったく無くなる。

11月24日、6回目

正常

12月8日、 7回目

正常。本日で終了とする。

 

症例A 36歳 男性 病名(躁うつ病)

既往歴 2002年10月躁うつ病と診断される。投薬とカウンセリングを一回うけただけで以後治療は何もしていない。

家族暦 特記すべき家族暦はなし。

主訴  頭痛、背部痛、腰痛、全身疲労

施術経過

2004年1月21日、「肩から首がこって大変しんどい、背後霊に取り憑かれた感じ(背中が非常に重だるい感覚)がするし、頭痛・腰痛もある」と言って来院した。施術をすすめてゆくと、肩から首にかけての筋肉が広範囲によくこっていて、顔の表情が暗そうなので、気持ちの悪い夢を見ないか、また夜良く眠れるか尋ねると、「変な夢を見る、夜は眠れない」と言う。

しんどいのは肉体の疲労だけでなく、精神的なことが影響しているようだと話すと、「躁うつ病だと言われています。まったくやる気が起こらず、今までの自分ではないみたいなので、自分の状態を把握しようと思い病院に行ってみたら躁うつ病だと言われました」と話す。

同年2月24日までに行った、計8回の施術経過を報告する。

1回目の施術後の感想

背後霊がだいぶ取れた感じで気分が楽になった、腰もまだ少し違和感はあるが楽になった。

1月26日、2回目

背後霊がまだ少しある感じ、腰も違和感が少しある。

1月30日、3回目

背後霊は取れた感じだが、腰の違和感は残る。

夜、眠れない。

2月2日、 4回目

「何かに取り組む意欲が出てきて、長い間中断していた趣味のパラグライダーで久しぶりに空を飛んできた」と話す。

まだ夜は、目が冴えて眠れないので困る。

2月6日、 5回目

2月12日、6回目

先日もパラグライダーで空を飛んできた。だいぶ意欲が出てきた。

夜、赤ちゃんが泣いたりして目が覚めると、その後なかなか寝付かれなくて困る。

2月19日、7回目

肩こりと腰痛を訴えて来院。「夜はよく眠れるようになった」とのこと。

2月24日、8回目

「スキーに行って年甲斐も無く激しい回転をやったので、全身が筋肉痛で腰も痛い」と言って来院。運動も積極的にやっている。夜もよく眠れるとのことで、異常なところはまったく見られなくなった。

 

症例B 33歳 男性 病名(うつ病)

既往歴 2000年2月、うつ病と診断され薬物療法を始める。その後治癒、再発を繰り返し現在にいたる。

家族暦 特記すべき家族暦はなし。

主訴  背部痛、頭痛、イライラ感

現病歴 2004年1月にうつ病が再発したが、今は安定しているとのこと。

施術経過

2004年2月17日から同年4月8日までに行った、計7回の施術経過を報告する。

1回目の施術後の感想

肉体的には背中の背後霊が90%とれたみたい(精神疾患を持った人は共通して激しい肩こりを背後霊に取り憑かれたようと表現する) 精神的には自分の感情が取り戻せた感じで、頭が70%くらい良くなったという感じ。

2月18日

 予約変更の電話があったので、その後の様子を尋ねると「気分爽快」と言う。

2月25日、2回目

  前回帰って三日くらい好調だったが、四日目くらいから気分が下降気味になったが薬を飲むほどではなかった。

又施術受けてみて体が非常に疲れているのが良く分かったので、疲れを取りたい等話す。

3月3日、3回目の来院

 気分が下降する事は無いが、電車に乗っている時などイライラすることがある。

3月10日、4回目

 誰でも感じることなのか病気のせいなのか、どちらかは分からないが電車に乗っている時などにイライラすることがある。 

3月18日、5回目

電車に乗っているときや何気ない時にイライラすることがあるが、すぐ治まるように

なった。以前は治まるのに10〜15分くらいかかっていたが、5分くらいでイライラが

治まるようになった。

3月30日、6回目

 まだ時々イライラすることが有ったが、先日面白い映画を見て、それ以来イライラしなくなった。

整体を受けて肌が綺麗になったこと、髪が増えたことに気付いた。

自分からボクシングを習い始めた。

4月8日、7回目

 まだ時々理由も無くイライラすることがあった。イライラしているときは顔に出ていると思うので、周りの人は迷惑していると思う、と話す。

5月31日、その後の体調を尋ねると、元気でやっているとのこと。

 

症例C 51歳 女性 病名(うつ病)

既往歴 全身がはちきれんばかりパンパンにむくみ正座できない状態で、激しい疲労感がある。また陽に当たると、左右のほほに発疹ができる。腱鞘炎で手首、ヒジ等にひどい痛みがある。激しい股関節痛、腰痛で夜も眠れない等の症状があり、ステロイドホルモンを処方されていたが効果が無いので飲んでいないと言った経緯があり、4年くらい前から定期的に通院していた。

家族暦 特記すべき家族暦はなし。

施術経過 

2003年12月14日、以前から定期的に通って来ていたこの女性に、精神病を治せる自信が出来たので、これから精神病に力を入れていこうと思っていると言うと、「恥ずかしいから今まで黙っていたが実は私もうつ病で(当院に)来始めの頃は大変だった」と話す。「その頃は、拒食になって体重が急に減る。過食になって体重が急に増える。よく死にたいと思う。ハッと気が付くと真夜中に車に乗り猛スピードで街中を走っていた。ものすごく怖い夢を見るので夜電気をつけていないと怖くて眠れない。一人になるのが怖い。電話が怖い。他人の会話が自分のことを言われているみたいに思う。コンビニに一人で入れない。すぐイライラして怒る。相手によっては食事をすると吐くことがあり、ごく親しい人とでなければ食事が出来ない」という状態だった。

2004年5月16日までに行った、計8回の施術経過を報告する。

1回目の施術後の感想

気分が大変楽になった。

12月17日、2回目

前回の施術後、自分で何かしようという気が出てきた。たまっていた仕事がドンドン出来るようになり、今年中の仕事も全部すませた。後頭部にいつも何かあったような感じが無くなり、背後霊が取れたみたいな感じ。帰り道非常に眠かったので車を止めて仮眠した。

まだ正常な自分に戻りきっていない感じがするとのこと。

12月28日、3回目

2004年1月22日、 4回目

夜、眠れない日が三日続き、いらいらして無性に腹が立つようになったので、以前のようなうつ状態になったら大変と思って来院したと言う。

3月 7日、 5回目

左足の坐骨神経痛を訴えて来院。施術している途中で急にいろいろ話し始めた。

「ここ2週間ほど夜眠れない。イライラしてよく腹が立つ。人が自分のことを言っている様に思う。食欲が無い。物が買いたい衝動にかられ買ったら落ち着く(後で後悔する)。仕事中に職場を抜け出してデパートをうろうろしていて、知人に『仕事中でしょう』といわれて『ああ仕事中か』と思って職場に帰った。職場で4時ごろ『私帰るね』と言って勝手に帰った。平気で9時とか10時に出社した」等話す。

早く来ればよかったのに、どうして来なかったのか尋ねると、「自分では異常だとは思っていなかった、ごく当たり前のことと言う感覚なのです」と話した。

施術の途中で正気にもどったようで、「どうみても異常ですよねえ、あんなことをやっていて、よく会社を首にならなかったと思います。そういえば職場の親友に倉敷(筆者の所)へ行って来たらと良く言われましたが、どこも悪くないのに行く必要は無いと思っていました。今日は左足が痛かったから来たので、こんな事を話すつもりではなかったのです」と話した。

施術後、「気分が落ち着いてスッキリした」と話した。

3月21日、 6回目

異常な行動はなかったが、「なんでもない事でいらいらしてよく腹が立つ」と話す。

施術後、イライラが無くなり気分が落ち着いたと言う。

3月28日、 7回目

子供に「どうしてそんなに怒るの。以前のお母さんじゃない、うつが出ている」と言われた。前回までは、話し方が興奮した感じで多弁だったが、落ち着いた感じの話し方になっていた。

5月16日、8回目

また夜眠れなくなって、イライラしてすぐ腹が立つようになったと言って来院。

施術後、「気分が落ち着いて頭がスッキリした」と言って帰った。

前回同様、落ち着いた感じの話し方だった。

5月31日、その後の体調を尋ねると、イライラすることはないとのこと。

 

考察

症例として発表することの同意が得られた四例の紹介となったが、それ以外にも良好な結果を得ている。また一例だけだが初回で効果がみられなかったため一回で来院しなくなったうつ病の症例がある。それまでの経験から初回で必ず効果が現れると思っていたが、その後、筋硬縮の程度が強いとか原因となっている筋肉が分かりにくいなどで、効果を本人が自覚できるまでに時間がかかる場合もあることが分かり、この症例も時間をかければ、なんとかなったかもしれないと残念である。現時点では精神疾患の原因となる筋肉の特定は出来ていないが、症例を積んでゆくと疾患ごとのポイントとなる筋肉は特定出来ると思う。その他の効果があった症例については、施術を通して以下の三つの共通する特徴が見られた。

@     躁うつ病症例、うつ病症例共に最初の施術において、霧が晴れたよう、頭の中がスッキリした、自分の感情を取り戻せた等の反応があった。

A     その後、躁うつ病においては躁症状(覚醒状態)が残り、うつ病においては怒りの感情が残った。

B     残った躁症状(覚醒状態)、怒りの感情共に、その後数回の施術で消えた。

このような経過で躁うつ病とうつ病共に、現在の薬物療法とか心理療法では考えられないくらい短期間で劇的に治癒といえる状態となった。これらの事から手技療法は、躁うつ病、うつ病に対して非常に有効な治療法であると考えられる。

また躁うつ病とうつ病は、筋硬縮を解消させることでどちらも同じように治癒といえる状態になったことから、筋硬縮という同じ原因から生じた別の表現形であることが考えられると共に、心とか精神といった心理的な原因ではなく、純粋に生物学的原因で発病すると考えられる。

ではなぜ筋硬縮によって精神疾患特有の異常感覚が発生するのか、筆者はこの疑問に思いをめぐらすうちに一つのごく単純な仮説がうかんだ。それは、施術方法が同じで頭部という同じ部位の疾患である頭痛から、この頭痛が起こる原因と考えられている頭部の血管とか神経の炎症といった異常が、心に影響を及ぼす領域で発生するためではないかとの推定である。

一般的に頭痛と言われている機能性頭痛は大まかには、片頭痛、群発頭痛、緊張型頭痛と器質的病変を伴わないその他の機能性頭痛に分けられている*3。頭痛の起こる原因として、

[片頭痛については] 現在のところ「血管説」と「神経説」および「三叉神経血管説」の三つの仮説が立てられている。

(血管説) もともと血管に何らかの異常があり、ふとした拍子で血管の緊張が乱れ、れん縮し、その後、反動的に血管が拡張することにより頭痛が起こるのではないか。*4

(神経説) なんらかの原因があって、脳の特定の部分に神経活動の興奮と抑制が波のように起こり、それが水面に起こる波紋のように周囲に広がっていき、やがて波紋のような抑制と興奮の波が、脳幹にある三叉神経の核を刺激して、頭痛が起こる。

(三叉神経血管説) 何らかの原因で、三叉神経が刺激され、サブスタンスP物質やそのほか炎症を起こしやすい物質が放出され、その支配下にある周囲の血管に炎症反応が起こり、血管を拡張する原因となって、頭痛が起こる。*5

[群発頭痛については] 偏頭痛同様、群発頭痛がなぜ起こるのかというメカニズムはよく分かっていない。ただ、分かっているのは、偏頭痛と同様に血管が拡張するためであろうということ。*6

[緊張型頭痛については] 身体的、精神的ストレスがもととなって起こる頭や首、肩のこりが原因となって起こる。*7

というように、「なんらかの原因」による血管とか神経の炎症および筋肉のこりによって頭痛が起こると考えられているが、こういった頭痛が、頭部を支える筋肉群に生じる筋硬縮を手技によって解消することで治まることから、「なんらかの原因」というのは筋硬縮だと考えられる。

この頭痛と精神病を比較してみると*8

○ 抗うつ薬であるアミトリプチリンなどでも(頭痛に)効果がみられ、アメリカなどではよく使われている。

○ セロトニン再吸収抑制剤とよばれる系統の新しい抗うつ薬も(頭痛に)効果があるのではないかと予測する説もある。

○ 各種の抗てんかん薬も偏頭痛の発作を防止する効果が認められている。

○ リチウム製剤は日本での保険適応のうえでは躁うつ病になっているが、外国では群発頭痛の治療薬として古くから用いられている。*9

下田治美著「精神科医はいらない」(角川書店)の中の統合失調症の女性の会話で、「うん、そう、セデスGです、これ。だいたい一時間に一包の割合で起きているあいだじゅうのんでる。これ、安定剤として、わたしには抜群に効くんですよねえ。」といった記述もある。

両疾患は使用する薬において、この様に重複した部分がある。

また、「片頭痛の患者さんの脳波を調べると、一見てんかんと似たような発作パターンを疑わせるような検査結果が得られることが多い*10」というように、両疾患は非常に似た脳波が出ることもある。

片頭痛は脳の神経伝達物質であるセロトニンの変化と関連している。セロトニンに関係する脳細胞は、情緒、注意力、睡眠、疼痛などをコントロールしているが、脳内のセロトニン濃度の慢性的な変化は心療内科的な問題をまねく一因となる。*11とあるように、両疾患はどちらも脳内物質であるセロトニンが非常に深く関係している。

そして頭痛と同じような施術方法で躁うつ病、うつ病が劇的に治癒といえる状態になったこと。これらを総合すると、精神病と頭痛は筋硬縮という同じ原因で発症する別の表現形であり、頭痛の場合は、頭部を支える筋肉群の筋硬縮により、頭部の血管とか神経の炎症といった異常が、知覚神経の領域で起こるため、頭部に痛みが発生する。精神病の場合は、頭部を支える筋肉群の筋硬縮により、頭痛の原因となる頭部の血管とか神経の炎症といった異常が、心に影響を及ぼす領域で起こるため、精神病特有の異常感覚とか思考の乱れが発生する、と推定される。

また、精神分裂病、躁うつ病、てんかん、精神薄弱などに関して挙げられた経験的遺伝予後の数字を一般住民中の数字と比較してみると、これらの疾患が遺伝に大きく関係していることがわかるが、精神病では遺伝子を持っていてもそれが現象型として発現せず、見かけ上健康であるものがかなり多い。疾患の発現に対する「遺伝と環境」の役割は、たとえば昔は、精神分裂病は遺伝病、結核は非遺伝病というような区別をしていたが、双生児研究により結核も素因と環境との割合がほとんど同じである遺伝病と考えられるようになった。素因を持っていても結核菌が体内に入らなければ結核にはならないが、感染だけでは進行性の結核にはかからない。すなわち結核でも素因がなければ発病しないからである。*12と言う。

 筆者は、精神病における「環境」を、現在精神病の誘因と考えられているさまざまなライフイベントによって引き起こされる筋硬縮(肩こり)と、推定する。そして、ひどい肩こりを起こしても遺伝的素因がなければ、精神病にはならない。遺伝的素因があってもひどい肩こりを起こさなければ、現象型として発現しない。遺伝的素因を持った人がひどい肩こりを起こしたとき、それぞれの遺伝子情報に従ってうつ病、躁うつ病、統合失調症等の症状が発現する、と考える。筋硬縮を起こしている個所とかその強弱も関与するかもしれないが、このことは今後の課題となる。現在、統合失調症の男性を1名、施術している。遠隔地のため泊りがけでの施術となり四泊五日の予定で一回目の施術を終り、良好な経過をたどっている。当報告には間に合わなかったが次の機会に結果報告したいと思う。

 

参考文献

1.    高田明和:心の病気はなぜ起こるか、p.219(2001、朝日新聞社)

2.    福西勇夫:統合失調症がわかる本、p.79(2002、法研)

3.    間中信也:ドクター間中の頭痛大学、p.27(2001、法研)

4.    荒木淑朗:神経内科で診る病気、p.37(2001、日本放送出版協会)

5.    間中信也:ドクター間中の頭痛大学、p.41(2001、法研)

6.    同、p.76

7.    同、p.62

8.    寺本 純:頭痛正しい知識と治し方、p.59(2000、診断と治療社)

9.    同、p.84

10.  同、p.47

11.  間中信也:ドクター間中の頭痛大学、p.128(2001、法研)

12.  新福尚武:新精神医学、pp.317-318, p.320(1981、医学出版社)


 

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